ココロの栄養

残された人を守るためには?【手助けの方法を知る,死別後の心理過程を知る】

死別

残された人を守るために周りができること

ストレスの度合いを客観的に示した43の項目が、下の表になります↓

ストレス度合い

(参考:山本大誠:身体運動によるストレスへの対策,バイオメカニズム学会誌,Vol. 35, No. 1(2011)

大切な人を失うことは、大きなストレスがかかります。配偶者の死に関してはストレスが100点と非常に高く、こころの状態に注意することが必要です。家族の死に関しても63点友人の死に関しても37点と、ストレスが大きくかかることがわかります。

人が亡くなるときの状況として、病気による「予測される死」と、遺族に心の準備が出来ていない「予測しない死」があります。特に「予測しない死」は、突然の出来事に心と体がついていかず、大きなストレスがかかります。

大切な人が突然いなくなってしまうと、これからどう生きていけばいいのか分からなくなり、過去の出来事を思い出して後悔し、自分を責めてしまうことがあります。現実を受け入れられず、苦しむ方が大勢います。

大切な人の死など、大きな喪失に対する正常な反応を「悲嘆(ヒタン)」といいます 。深い悲しみ、大きな喪失感、罪悪感、絶望感などの感情がみられます。時間が経過し、死別した事実を受け入れられるようになると、孤独感や淋しさがココロに負担をかけます。このような悲嘆症状が長引くと、病的な症状に移行します。(Lindemann,1944)

死別体験者の10~15%は、うつ病・心身症・不安症などの精神疾患に移行するといわれています(Zisook S,DeVaul RA:Grief,unresolvedgrief,and depression.Psychosom24:247-256,1983) 。アルコールを大量に飲み続けたり、お金を散財したりと、普段は抑えている衝動に負けてしまう方も多いかと思います。

周囲の人たちの温かい援助と、適切な配慮があれば、悲嘆の期間が短縮されます。

悲嘆の長さは、その人がうまくグリーフケアを行うか否かにかかっています。

グリーフケアとは死別を経験することで生じるココロの傷を、様々な援助や取り組みによって手当てし、もとの正常な身体や心の働きを取り戻すことです。

そこで、死別後の心理過程を知ることは非常に重要です。

なぜなら、死別した人の状況を正しく理解していなければ、良かれと思って発した言葉が相手を傷つけ、回復を遅らせてしまう可能性があるからです。例えば、「そんなに悲しまずに早く立ち直るように。」というような何気ない言葉を伝えてしまうとします。その言葉に傷つく人は多く、回復を遅らせる事がわかっています。(参考:SIDS家族の会:お産が悲しい出来事になったとき)

死別後の心理過程

死別を受け入れるまでの心理過程として、「Wordenの悲哀の4つの課題」が代表的です。

Wordenの悲哀の4つの課題

①喪失の事実を受容する
②悲嘆の苦痛を経験する
③亡くした人のいない環境に適応する
④亡くした人に向けていたエネルギーを外に向け、新たな事に力を投入する

①喪失の事実を受容する
葬儀などの伝統的な儀式は、死を受け入れる事を助けるといわれています。(Worden,1991/1993,p16)
葬儀は亡くなった人と最後の別れをする大切な儀式です。故人に「感謝の気持ち」を伝える事ができます。

 

②悲嘆の苦痛を経験する
感情のコントロールが困難になりやすい時期であるといわれています。こころのコントロール能力を超えた強い衝撃に対し、うまく対応することができない状態です。臨床心理士による電話相談があるので、無理をせず専門機関を利用することも大切です。(相談窓口:厚生労働省,遺されたご家族へ

この時期は周りが何かするよりも、負担のない形で「そばにいること」が大切です。食事や買い物など、「家事の援助」を行う事は、回復の手助けになります。

ストレス緩和方法については、下記のブログ「心が疲れる原因は?心を整える方法【良いストレスと悪いストレスの違い】」に記載しています↓

ココロの疲労
心が疲れる原因は?リラックスする方法【良いストレスと悪いストレスの違い】知らぬ間にストレスが溜まっている こころの不調は、誰にでも起こりうるものです。 自分が抱えているストレス(ストレッサー)に気づき...

 

③亡くした人のいない環境に適応する
気持ちが外に向き始めたら、思いを言語化したり、感情を表出する場を提供すると、回復につながりやすいといわれています(Burnell,1989/1994,p180)。他にも、宗教あるいはそれ以外の考え方を通じて喪失の意味を理解する・泣く・読書する・喪失や悲しみについて書く・自助グループ厚生労働省,遺されたご家族へに参加するなども有効です。

傾聴(カウンセリングの一種)のポイントについては、下記のブログ「落ち込んでいる人への接し方【感情の変化を理解する・傾聴力を鍛える】」に記載しています。

元気がない人
落ち込んでいる人への接し方【感情の変化を理解する・傾聴力を鍛える】 【記事の内容】 ・落ち込んでいる人の状態  (ストレスを抱えやすい性格,ストレス時の脳の構造) ・感情の変化の...

 

④亡くした人に向けていたエネルギーを外に向け、新たな事に力を投入する
ココロの中に亡くなった人を新たに位置づけることが大切です。例えば、「そばで見守ってくれている。心の中で一緒に生きている」等です。亡くなった人を苦痛なく思い出せるようになったとき、死を受け入れる事が出来たとみなします。故人と新たなつながりを持つ・遺品を大切にする・定期的に故人を追悼する機会をもつ等も大切な行動です。

(参考:瀬藤乃理子子どもの死別と遺された家族のグリーフケア,JpnJ PsychosemMed44:395-405,2004 )

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若々しいココロとからだを保ち、最期まで自立した生活を過ごすため、①身体の悩みに合わせたアイテムの紹介、②健康管理の豆知識、③こころの健康を保つ方法について紹介します。