成長ホルモンはアンチエイジングに必要!
身体の成長を促したり、傷ついた身体を修復させる効果がある成長ホルモンは、若々しく過ごすために欠かせないホルモンです。成長ホルモンは、睡眠中に約70%(眠り始めから最初の3時間)、空腹時や運動中に約30%分泌されます。
成長ホルモンは思春期を過ぎると分泌が減っていき、30~40歳代では50%、60歳代では30%まで減ります(Horm Res 40(1-3):80,1993)。
しかし、運動によって老化のスピードは遅らせることができます。
(岸恭一,栄養科学シリーズNEXT運動生理学,2008)。
毎日運動している人は、運動しない人より約10歳ほど、からだの機能や体力が若い水準であることがわかっています簡単!成長ホルモンの分泌を促す運動
成長ホルモンの分泌を促すには、無酸素運動である筋トレ(重りや抵抗を用いて行うトレーニング)が一番効果的です。強度の高い運動はより一層、成長ホルモンの分泌を促します。
しかし、何年も運動していない人がいきなり負荷の高い筋トレを始めると、ケガや事故につながります。また、筋トレは正しい知識が必要なので、初心者にとって取り組みにくい内容です。
そこで、「初心者でも安心!成長ホルモンの分泌を促す運動」について紹介します。
運動中の成長ホルモンの分泌量を比較した研究
運動の強度や内容によって成長ホルモンの分泌量に違いがあるのかを調査した研究です。
(参考:宇都宮由依子,運動強度(METs)と成長ホルモン分泌の関連について)。
【方法】
この研究では①自転車マシン(エルゴメータ)、②ランニングマシン(トレッドミル)、③屋外での歩行の3群に分けて成長ホルモンの分泌量を比較しました。
3分間のウォーミングアップ(3METs)後、少し汗ばむ程度の運動(6METs)を12分、息がはずむ運動(10METs)を6分間それぞれ行い、1分間のクールダウンをしました。運動後120分まで30分間隔で採血を行いました。
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トレッドミル:ランニング エルゴメーター:自転車 外周:屋外での歩行 |
運動後30分の成長ホルモンの分泌量をみると、ランニング、自転車こぎの順に成長ホルモンの分泌量が多いことがわかりました。
ランニングは全身運動、自転車こぎは主に下半身の運動です。そのため、全身運動であるランニングの方が自転車こぎよりも成長ホルモンの分泌量が多いと理解できます。
しかし、グラフを見るとランニングと自転車こぎの数値に大きく差があるわけではありません。ランニングは足が着地する時の衝撃がとても大きく、ケガが発生するリスクが高い動作です。
運動に慣れていない方や、膝への衝撃が気になる方は、関節に負担がかかりにくい自転車こぎがオススメです。
ある程度、身体づくりが出来ている方は走っている時に傾斜をつけるなど、筋肉の負荷量を変えてみると成長ホルモンの分泌量が大きく変化します。
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グラフの黄色が、傾斜をランニングした後の成長ホルモンの分泌量です。 |
傾斜をランニングすると、運動後120分の段階でも成長ホルモンが大きく分泌されている事がわかります。
どの運動でも共通しているのは、運動負荷が高いほど成長ホルモンが分泌されやすいということです。
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ウォーミングアップ(3METs)、少し汗ばむ程度の運動(6METs)、息がはずむ運動(10METs) |
最初は、少し汗ばむ程度の運動(6METs)から始め、慣れてきたら息がはずむ程度の運動(10METs)へ運動強度を上げていくと、成長ホルモンを多く分泌させることができます。
運動後のケアが大切!
運動の強度が高い低いに関わらず、成長ホルモンは運動後2時間以内に分泌されていることがわかりました。(参考:宇都宮由依子,運動強度(METs)と成長ホルモン分泌の関連について)
運動後すぐにプロテインで栄養補給を行い、筋肉形成の効果を高めることが重要です。
運動をする前にも栄養状態が良好である必要があります。
消費エネルギー(基礎代謝や運動など)が摂取エネルギーを上回ってしまうと、本来なら筋肉形成に使われるタンパク質がエネルギーに利用され、筋肉が作られにくくなります。

最後までご覧いただきありがとうございました。